なりわい
白鳳社寺の仕事は、社寺の新築・修復・文化財保存の三本柱。いずれも、木を読み、木を組み、 木に委ねる宮大工の手仕事です。千年の先を見据え、一本一本の材と向き合います。
三つの柱
社寺の新築
本殿・拝殿・山門・鐘楼を、伝統の木組みで一から起こす。
礎石の据え方から屋根の反りまで、社寺建築の格式に則って設計・施工します。土地の気候と信仰のかたちを読み、幾世代にもわたって受け継がれる建物を、宮大工の手仕事で立ち上げます。
- 本殿
- 拝殿
- 山門
- 鐘楼
- 神楽殿
修復・改修
傷んだ社寺を、元の姿を尊びながら次代へ渡す。
解体調査で当初の工法を読み解き、傷んだ材は継ぎ、活きた材は残す。屋根の葺き替えや構造の補強も、既存の意匠と手法を損なわぬよう努めます。建てられた当時の職人の意図に、静かに耳を澄ませる仕事です。
- 解体調査
- 部分修理
- 屋根葺替
- 耐震補強
文化財保存
指定文化財に準じた考え方で、由緒ある建物を守り継ぐ。
貴重な社寺建築は、後世への証として現状を丁寧に記録し、可逆性を重んじて手を入れます。伝統的な材料と工法を用い、建物の履歴を損なわぬ保存に努めます。所有者・専門家と協働しながら進める、根気のいる仕事です。
- 現状記録
- 伝統工法での保存
- 調査協力
匠の技 — 継手・仕口
Mortise & Tenon
釘に頼らず、
木を木で締める。
宮大工の要は「木を組む」ことにあります。鉄は錆び、やがて緩む。けれど木と木を噛み合わせた組手は、 湿気に膨らみ乾きに締まりながら、建物とともに呼吸し続けます。刻みの一手が、次の千年を支えます。
- 01つぎて
継手
長さの足りぬ材を、木の繊維を活かして一本に継ぐ。金輪継・追掛大栓継など、荷重の向きに応じて刻みを選ぶ。
- 02しぐち
仕口
柱と梁、桁と束——直交する材を組み合わせる技。ほぞと込栓で締め、地震の揺れを木自身に受け流させる。
- 03きぐみ
木組み
継手と仕口を組み上げ、建物全体を一つの骨格とする。締まりながら遊びを残す木組みが、幾百年の時に耐える。
素材へのこだわり
適材適所——木は、育った山の向きのまま使う。
山の南に育った木は日を受けて強く、北の木は粘りに富む。建物のどこに据えるかを見極め、 木が山で立っていた方角のまま組むのが、宮大工に受け継がれた木取りの心得です。木は伐られて なお生き、幾百年をかけてゆっくりと締まり続けます。
木曽檜
きそひのき緻密な年輪と艶やかな木肌。狂いが少なく、香りと粘りに富む。社寺の要となる柱や化粧材に用いる。
欅
けやき力強い木目と硬さを備え、荷重を受ける梁や虹梁にふさわしい。時を経るほどに深みを増す色艶を持つ。
杉・松
すぎ・まつ軽く扱いやすい杉、粘り強い松。垂木や野物など、適所に応じて木の個性を活かして使い分ける。
仕事の流れ
一棟の社寺は、見立てに始まり仕上げに終わる長い道のり。工程のひとつひとつに、 先人から受け継いだ判断と手順が息づいています。
- 01
見立て
みたて現地と図面を読み、社寺の格式・地形・気候を見極める。用いる木を思い描き、全体の骨格を定める。
- 02
墨付け
すみつけ一本ごとの木の癖を読み、墨壺と指矩で継手・仕口の位置を記す。ここで建物の精度がほぼ決まる。
- 03
刻み
きざみ墨に従い、鑿と鉋で継手・仕口を刻む。手道具の切れ味が、木肌の締まりと組手の強さを生む。
- 04
建方
たてかた刻んだ材を現地で組み上げる。柱を起こし、梁を渡し、木組みを締めて建物の姿を立ち上げる。
- 05
仕上げ
しあげ屋根・化粧・細部を整え、鉋をかけて木肌を仕立てる。長く手入れが続くことまでを見据えて納める。